しろちゃん

タビ

色丹で足踏みしながらトイレに並ぶ

その集団はまだ寒風吹きすさぶ極寒の地、色丹半島神威(カムイ)岬の公衆便所前に長蛇の列をなしていた。「ここのトイレは狭いですから、譲り合ってどうしてもという人だけにして下さい」全員難聴なのか、添乗員の声掛けにもだれも関知していない。ここは北海...
タビ

雲海テラス・運開テラス

理由は次の日の早朝にわかる。雲海テラスに4:00から登頂するのだ。登ると言ってもバスで麓まで行き、そこからロープウェイに乗る。両足はほとんど使わない。クスリ漬け年金生活者は朝が早いから4:00は普通だ。みんな我先にと、やって来た。5月と言え...
タビ

トマムザ・タワー侵入

専用車両は17:00前にトマムザ・タワーに無事侵入した。一人の落伍者も出さずに一日目の目的地に到達出来たわけだ。西新宿の高層ビル群に匹敵する高層タワーが突如として出現した。星野リゾートとあるので純粋な日本の施設かと思いきや、中国企業に売却さ...
タビ

BUS・BUS・BUS

バスに一人残らず乗り込んだ。添乗員が人数を2回指差し確認する。キャリーバッグも残らず詰め込んだ。補助酸素ボンベもCPAP器材も顔面マスクも確認した。満車だ。募集要項に「キャンセル待ち」の表示があったから当然だ。さすがに手すりにつかまっている...
タビ

クスリ漬け年金生活者集団大移動

移動開始は14:00。さすが昭和の荒波をくぐり抜けて来た大先輩たち。時間の狂いは1分たりともない。ツアー客には持って来いだ。しかしこの特性があとで裏目に出るとは。かわりに相手に1分の遅れも許さないからだ。添乗員が3名それぞれ9時の方角、12...
タビ

新千歳空港に大集団現る

5月某日。ゴールデンウイーク翌週の平日、13:50。新千歳空港一階ロビーに突如として大集団が集結した。全員が若くない。というか前後期高齢者だ。クスリ漬け年金生活者の老夫婦一団なのだ。杖を突いた者、酸素ボンベを鼻につないだ者、シルバーカーにす...
シゴト

アラザンの眼をした妖精

別室には別種類のホルマリン標本があった。見てはいけないものを見てしまった。胎児と言おうか嬰児と呼ぶのか、それからまだ小さな小さな妖精の標本もある。映画の話ではない。現実なのだ。身長が3㎝に満たないものから20㎝近くのものまである。大きいのは...
シゴト

ホルマリン漬けされた心臓の叫び

この弓部置換をした心臓。一度は助かったのか。どれくらい持ったのであろうか。でもここに心臓があるということは、結局は死んだんだよな。手術場で心拍が戻らなくてもPCPS(補助人工心肺)をつけてICUに帰すから、オペ室では便宜上は亡くならない。あ...
シゴト

心臓外科手術の修羅場

この心臓は動脈硬化と石灰化がひどい。もちろんDissection(解離)を起こしたんだから当然だが。予想以上だ。うまくグラフトがつなげるか。石灰化の軽い場所がなかなか見つからない。やっとのことでなんとか縫合出来た。ところが今度は針孔からの出...
シゴト

ホルマリン漬けの年金生活者

その部屋は直射日光を遮断する地下にあった。とびらを開けると、かすかにホルマリン臭が漂う。ガラス瓶に密閉していても多少は気化するらしい。ホルマリン漬けにされていたのは何十体ものクスリ漬け年金生活者。各ガラス瓶に1体ずつ彼らの心臓が保存されてい...