コキョウ

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養蚕 かいこさん 9

上質なシルクが、糸巻きがふくれ上がるほど取れました。純白で艶も豊かです。紛れもなく一級品です。高値で取引されることでしょう。いや、間違えました。夏休みの課題が高評価を受けることでしょう。これで理科の成績が上がります。よかった。しかし他のクラ...
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養蚕 かいこさん 8

これで準備完了です。いよいよ開始です。スイッチを入れます。かあちゃんに持ってもらっているマブチモーターが、唸り声をあげて勢いよく回り出します。クスリ漬け年金生活者は、両手を湯につけて、いくつものコクーンからの糸を、一つに束ねて整理していきま...
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養蚕 かいこさん 7

教科書によると、「ブラシやはけで表面を擦れ」と書いてあります。しばらくすると、あれよ、あれよ、という間に、糸くずのようなものがからみつくではありませんか。これらを全部手繰り寄せて行くと、やがて1本になりました。これが糸の先端だったのです。あ...
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養蚕 かいこさん 6

しかし、悲劇は突然起きました。ある朝起きてみると、箱の中で2匹の黄色い蛾(モスラ)が、小さな羽をばたつかせて、這いまわっているではありませんか。ものすごく太い胴体。全身毛だらけ。おまけに頭には目玉の横に大型のレーダーのような、アンテナがつい...
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養蚕 かいこさん 5

ついに繭(コクーン)の完成です。緑の桑の葉だけから、なぜあんな純白のシルクが出来るのでしょうか?これこそ、永遠の神秘です。コクーンをソット振るとコソコソと音がします。中にちゃんといるのです。すべてが糸になってしまったのではないのです。安心し...
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養蚕 かいこさん 4

やんちゃな杉浦君が一匹を手に取り、握りつぶしました。中身が気になったのでしょう。突然、緑色の液体があたり一面に飛び散りました。みんなは驚き、あとずさりしました。まるであのエイリアンと同じ血の色だったからです。とはいっても、この時代まだ映画「...
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養蚕 かいこさん 3

最初の授業で成虫のモスラが桑の葉に透明な卵を産み付けるところを、皆で集まって見学しました。モスラは黄色の蛾で全身に毛がいっぱい生えています。茶毒蛾を少し大きくした感じです。でも毒は持っていません。しかし蛾は蛾です。蝶のように綺麗ではありませ...
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養蚕 かいこさん 2

そもそも養蚕業は、日本の明治時代から昭和初期にかけて日本を支えた基幹産業のひとつです。その歴史は古く、起源は中国大陸にあり新石器時代(紀元前7000~6000年ごろ)にさかのぼると言われています。しかも中国では養蚕技術の国外への持ち出しは固...
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養蚕 かいこさん 1

「サクサクサク」かいこさんは今日も食べます。凄い、食欲旺盛です。外の雑踏が消えると、桑の葉をかじる音が部屋中に響きます。「サクサクサクサク……」聞いていて気持ちよくなるくらいです。間違っても「エコエコアザラク」ではありません。一列に並んでい...
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香取慎吾を踏んだ夜

その悲劇は昭和初期の大宮市盆栽町の電気屋で発生した。クスリ漬け年金生活者は、毎年夏休み、あるいは冬休みになると母の実家の遊びに行っていた。実家の近くで、母の弟が電気屋を開業していた。そこに泊まって過ごした。電気屋なので遊ぶおもちゃには困らな...