コキョウ

ポリオパンデミック 2

参観日に母親どうしが、うしろでヒソヒソと話していた。席が後ろだったので、話し声がよく聞こえた。「あー、ワクチンが間に合わなかったんですね。かわいそうに。」「うちも一緒に遊んでいたから、もうダメかと思いました。でもなんとか大丈夫でした…。」 ...
コキョウ

ポリオパンデミック 1

なんと日本でポリオパンデミックが起きた。集団赤痢の怖さなど比ではない。罹患すると後遺症で一生歩けなくなるのだ。なぜか幼少期の子がウィルスのターゲットになった。日本全国でこの年、なんと5000名以上の患者が発生した。幼い子を持つ母親は皆蒼ざめ...
コキョウ

マツダキャロル KPAD型 登場

この年、初代マツダキャロルKPAD型が登場した。360㏄で18馬力と、今では考えられないような非力だが、当時では画期的な国産車だった。なんと18馬力で4人も乗れる。実際に公道を走る。当時ではこの車でも高級車で、庶民には高値の花だった。国産車...
コキョウ

フォルクスワーゲン ビートル

園には今でこそ珍しくはないが、昭和初期に人力車が闊歩していた時代に、エンジン付きの車で送り迎えしている家庭があった。現金(かね)持ちの百瀬さんだ。肌色のフォルクスワーゲン・ビートルだった。なんとドイツ産の外車ではないか。パッパは裁判所に勤め...
コキョウ

メグロのオートバイ登場 2

「今からでは、走って園まで行かなくては間に合わない。神父さんにおこられる。大ピンチだ!」そんなとき、満を持して登場したのが、初めて見る黒くて大きなバケモノである。ものすごいうなり声を上げる。これが華々しいメグロのオートバイの登場シーンである...
コキョウ

メグロのオートバイ登場 1

それが初めて登場したのは、昭和初期、蟻ケ崎にある県営アパートの前だ。そのころクスリ漬け年金生活者は、約3㎞離れたバプテストのいずみ園に通っていた。当初はいずみ園まで500mの至近距離であったが、御徒町から蟻ケ崎に転居したことが原因で遠くなっ...
コキョウ

落雷遭難事故 UH-1

南から進入して来た何機もの陸上自衛隊多目的救難ヘリUH-1が、爆音をあげながら次々と校庭に着陸する。そのたびにグラウンドの土煙が激しく巻き上がる。土煙で視界が悪く同時に2機が着陸しては接触の危険があるため、他機は上空で待機している。1機ずつ...
シゴト

成城学園通りの桜並木

今年も成城学園通りの桜並木が満開をむかえる季節となった。向ヶ丘遊園から多摩川を渡り、世田谷通りを都心向けに走る。マツダコスモの13Bロータリーエンジンは快調だ。車内には矢野顕子の「春先小紅」のサウンドが響く。やがて左カーブの上り坂にかかる。...
コキョウ

焼き場の二人

夕暮れ時に、秋の空高くカラスが鳴く。哀愁がこの時期漂う。昔、沼近くの焼き場にふたりは暮らしていた。兄と妹のふたりだけだ。両親は見たことがない。いつもみんなから「焼き場の子」「焼き場の子」といじめられていた。クスリ漬け年金生活者も昔、友人と一...
コキョウ

ちんちん電車が走る街

クスリ漬け年金生活者が生まれた街には、かつてちんちん電車が走っていた。筑摩電気鉄道が駅から温泉までの5.3㎞を走らせていたのだ。都会からの登山客の多いこの街。新宿から夜行の準急「穂高」が満席で到着する。終着駅だ。さらに、ここを起点として北ア...