シゴト 六号坂のアヒルたち 6 アヒルたちは国家試験に無事合格。それぞれの道を進んだ。夜の9時を過ぎた。今日は当直だ。控室のソファーは、背もたれを倒すとベッドに代わるしくみになっている。緊急の検査で起こされなければ、朝まで眠れる。ただ、定例の仕事をやってしまわねばならない... 2025.03.04 シゴト
シゴト 六号坂のアヒルたち 5 故郷に帰ることの出来なかった六号坂のアヒルたち何匹かが、再び集結したのは、その年の4月上旬だった。みな現ナマ¥1,000,000とやる気を持って来た。今度こそは失敗は許されない。現ナマ¥1,000,000は言わずと知れた親が準備した、なけな... 2025.03.01 シゴト
シゴト 六号坂のアヒルたち 4 そして3月には地方にもどるアヒルの一群がいる。しかし何年たってもアヒルはアヒル。飛ぶことはまず出来ない。何羽かは陽の目を見て、飛べることを信じて都内に残るが、ほとんどは体を左右に揺らし、ヨタヨタと帰って行く。彼らは上京生活で何を得たのだろう... 2025.02.27 シゴト
シゴト 六号坂のアヒルたち 3 彼らアヒルたちは、上京生活の3~4年間をこうして過ごす。すべて先輩から受け継がれて来たアヒルのアルゴリズムに従う。住みかは、フロなし、トイレ共同の6帖一間の安アパートだ。それにかたちだけ蛇口がついているかんじかな。まるで「神田川」の世界その... 2025.02.25 シゴト
シゴト 六号坂のアヒルたち 2 六号坂そして水道道路にたむろするアヒルたちの日々はつづく。雨の日も雪の日も。足が重くても軽くても日々は容赦なくやって来る。だからどうしても稼がなくては夜会生活が続かない。パチスロで日々の生活費を稼ぐアヒル。ガソリンスタンドで稼ぐアヒル。ロ場... 2025.02.22 シゴト
シゴト 六号坂のアヒルたち 1 かつて六号坂にはアヒルがいた。坂を下り来ったところを左手に入ると、夕方2時間しか開かない診療所があった。住みかはその向かいの岩坂荘あたりか。アヒルの昼は、駅前のゴールデン地下街の賭場だった。甲州街道をはさんで京王線の駅がある。そのころの京王... 2025.02.20 シゴト
コキョウ クラウンが燃えた日 ある晩クラウンが燃えたらしい。警察から小学校長に連絡が入った。それで朝から職員室が騒がしいのか。「こころ当たりのある者は名乗り出なさい。」担任の先生が学活の時間に話した。みんなキョトンとしている。ただ、クスリ漬け年金生活者のこころは、にわか... 2025.02.18 コキョウ
コキョウ 新井ブースカ登場 新井ブースカが昔、蟻ケ崎にやって来た。使用された機材はスバル360だ。なぜそう呼ばれていたのか、誰も知らない。いつしかそう呼ばれていた。当時、ドリフターズという笑劇団が活躍しており、そのメンバーに「なんだ、馬鹿野郎!」がキャッチフレーズの荒... 2025.02.15 コキョウ
コキョウ ポリオパンデミック 4 隊列は目的地目指して進む。牛飼君は自転車で進む。大名行列で例えると、馬に乗った殿様だ。マッマはたずなを引っ張る従者あたりか。マッマは他の子らにも声をかけて、道中気を配る。やはり、担任が2名に増えたのだ。その時は、何も違和感を感じなかったが、... 2025.02.13 コキョウ
コキョウ ポリオパンデミック 3 遠足の日が来た。おやつは50円以内でそろえるよう学校から通達があった。前日に友だちと駄菓子屋に買いに行く。どれを選ぶか迷う。水筒にはマッマに頼んで、砂糖入りの甘い麦茶が常だった。のどかな時代である。牛飼君もやって来た。いつものように補助輪付... 2025.02.11 コキョウ