アリセプトをお願いした日

オヤフコウ

「母を母のままでいてほしいから… 」      

93歳の母は、いまオランザピンを服用しています。高齢による気分の不安定さや、妄想、幻聴がみられ老人性精神障害と診断され、主治医の判断で処方されました。現在は落ち着いていて、錐体外路症状といわれるような震えやこわばりも、幸い見られていません。

ただ、記憶力の衰えが日増しに進んでいるように感じ、私のことをふと「この人、誰だっけ?」とでも言いたげな目をする瞬間があるのです。そのたびに胸がつぶれそうになります。先日、主治医にアリセプト(ドネペジル)の処方を、お願いしました。少しでも、認知症の進行を遅らせたいという一心でした。

ところが、主治医は慎重な姿勢を崩しませんでした。「オランザピンと併用すると副作用が出る可能性があります。特に高齢者は要注意です。今は錐体外路症状が出ていないとのことですが、アリセプト引き金になる可能性もゼロではありません」と。納得できる説明でした。それでも、どうしても諦めきれない自分がいます。

母が私を息子と認識できなくなる日が来るかもしれない。その現実が怖いのです。薬のリスクと効果、そのバランスの難しさは、わかっているつもりです。けれど、母の「らしさ」を少しでも長く保つために出来ることは何か-  そう問い続けながら、今日も母のそばにいます。      手記2025/07/10

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