岩陰に大きなしっぽを見つけた。かすかに動いている。やったー! この大きさのしっぽだと魚体はかるく1mはあるぞ。それに相手はまだ気づいていない。まさに千載一隅のチャンスである。でも少し流線形なしっぽだ。見たことない。しかし、仕留めてみればわかることさ。胸は今までになく高鳴った。
魚体は岩陰の間に隠れて見えないので、しっぽをたよりに、そっと岩を回り相手が気づく前にスピアを発射する。直後に異変を感じた。魚体が予想以上に大型で流線形なのだ。気づいた時には遅かった。運悪くスピアが至近距離であったためか、魚体尾部を貫通していた。スピア先端には長さ5cm近い返しが一本ついており、貫通すると大きく開きどんなことがあっても抜けない。
「これはまずい」と思った瞬間、猛烈な力で海中に引っ張られた。途中、私の体が岩の間に運よくはさまり、沖に引っ張られるのだけはくい止められた。相手は猛烈なスピードで泳ぎまくっている。今にもワイヤーが切れそうだ。相手はこともあろうに1.5mは超えるサメだった。プライベートビーチとはいえ、何でこんな浅瀬にサメがいるんだ。ワイヤーが切れて自由になったら、こちらに向かって来るかも知れない。とても危険な戦いとなった。もうあとにはひけない。
今度は私が思いっきりスピアガンを引っ張り、サメを岩の間にはさみ動きがとれないようにした。そして飛びかかり目玉と頭をナイフで何度も突き刺した。皮膚は硬くて容易には突き刺さらない。ナイフを近づけるたびに、口を大きく開けてキバをむき、咬みつこうとするのでよけるのが大変だった。
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