セールストーク

シゴト

実践の日が来た。情報部門から機密資料を渡される。有名大学の学生名簿である。そこに片っ端から電話をかけていく。この電話での「アポイントとり」にも、ちゃんとマニュアルがある。だから素人でも出来る。入社翌週からやらされた。先輩の話によると、アポイントが取れた時点で半分は成功という。あとはチャンスを逃さないようにとのこと。

頼りにしている先輩はいつも貴重なアドバイスをくれる。こちら側が「売ろう、売ろう」という態度を絶対にみせてはいけないらしい。相手が警戒するという。「売れても売れなくても私はどっちでもいいよ。あなたの未来はあなたの判断で決めて下さい」という心境で終始、相手と接しなさいとのこと。だから相手が自分から「これお願いします」と言うまで、ひたすら待てとアドバイスを受けた。

早稲田の学生とアポイントがとれた。やっぱり有名企業への就職を目指しており、語学力がそのキーになると考えているようだ。だからそこを責めた。私はその時は、もうこの英語教材が本当に素晴らしいものだと確信していた少しでも入社に有利になればと心から思っていた。社を出る時、「契約が取れそうなら連絡を入れろ」と言われた。「ハイ、万が一の時はそうします」と答えた。

「まさか1回目のセールスで契約なんか取れっこないでしょ」これは上司の冗談としか思えなかった。目的地は新木場駅近くの喫茶ルノワール。なんとおどろいたことに、マニュアルにも喫茶店の指定があるのだ。セールスに向く環境の喫茶店とそうでない混雑している喫茶店。さすが調査部門。定期的に関係筋から情報共有しているらしい。混み具合もセールスの行方に関係するのか。この最新マニュアルはすごい!

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