パビリオンDASH-3

タビ

約30分の所要時間でアメリカパビリオンを終了した。次に目指すは、2ケ月前登録出来たオーストラリア館である。道に迷うと困るので、大屋根リングにいったん登り、全体の風景を俯瞰しながら索敵した。眼下にいくつものパビリオンがひしめき立つ。どれも、独創的な建造物で、その国のイデオロギーが醸し出されていた。

たしか、日本館はSDG’sだったような。ともかくオーストラリア館が見えてきたところで、大回廊を降りた。09:50オーストラリア館へ入館する。もちろん待ち時間なしの優先レーンだ。オーストラリア館に一歩足を踏み入れた瞬間、思わず息をのんだ。巨大なスクリーンに映し出される大自然

――果てしない赤土の荒野エメラルドの海夜空を埋め尽くす星。まるで自分が地球の呼吸の中に吸い込まれていくようだった。テーマは「共生」。原住民アボリジニの「ドリームタイム」の世界観を軸に、自然と人とのつながりを音と光で表現している。かすかにユーカリのなつかしい香りが漂う。

静寂に響くディジュリドゥの低音が、心臓の鼓動と重なり、不思議な一体感を生む。展示のクライマックスでは、環境再生の映像とともに、来場者一人ひとりの顔がスクリーンに投影される仕掛けが。人も自然の一部として“未来を紡ぐ存在”だと静かに語りかけてくる。――万博の数あるパビリオンの中で、ここだけは“体験”を超えた“祈り”のような時間だった。

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