ポリオパンデミック 1

コキョウ

なんと日本でポリオパンデミックが起きた。集団赤痢の怖さなど比ではない。罹患すると後遺症一生歩けなくなるのだ。なぜか幼少期の子がウィルスのターゲットになった。日本全国でこの年、なんと5000名以上の患者が発生した。幼い子を持つ母親は皆蒼ざめた。そしてポリオワクチンを求めて走り回った。

日本は慌てて海外からポリオ生ワクチン緊急輸入した。しかし間に合わなかった。ワクチン接種前罹患してしまう子が続出した。そして悲惨なことに、日本中がびっこをひく子であふれてしまったのだ。ポリオウイルス腸管から飛び火して脊髄神経を侵す。もう一生回復することはない。だから「小児麻痺」とも恐れられていた。

この年代は学年に一人から二人はいた。片足に装具をつけて通学する、不幸な運命を背負った子が…   1年6組に牛飼君がいた。「かわいそうだね」入学式から帰って、母と話した記憶がある。彼は自転車で通学していた。補助輪が付いている銀色の自転車だった。家は酒屋をしていたと思う。

母親から託されたのか、近くの友人がいつも付き添っていた。同じクラスだから友だちになった。だけど性格がひどくゆがんでいた。悪口を言う。人を罵る、つねる、たたく、蹴る。怒っていたり、不機嫌な彼しか記憶がない。そして皆が怖れていた。今思えば、すべて小さなからだ大きな病を背負ってしまったからだろう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました