中華バスはマリオの運転のもと、ディーゼルエンジンから真っ黒い煙を吐き出すと、おもむろに発車した。最終便17:00発であるが乗客は4名のみ(運転手は数えず) 夕刻のラッシュの中、目的地に直行するがのろい。あたりは師走の空、夕闇がさし迫っていた。浪花街の雑踏を過ぎ、高速へ。さみしげな湾岸地帯を抜けると、あたりが急に明るくなって来た。
風景が一転した。昼間みたいだ。観覧車も見える。フライングダイナソーがライトの帯をひいて、まるで龍のようにくねりながら、轟音とともに駆け抜けて行く。みな歓喜して両手を上げて何かを叫んでいる。明日はこの「G」に耐えねばならないのか。ゾクゾクして来た。楽しみが止まらない。今日は寝れないぞ。
やがて中華広場に着いた。ここは世界各地から夜行バスが終結する噂の場所だ。遠く蘇州、西安、留萌、仙台、新潟、長野あたりからやって来る。ここからオフィシャルホテルが林立する高層エリアに向かう。あたり一面がピンク色にライトアップされている。そして見上げる高さのビル群が、サーチライトで中華麺のように輝いている。
ここでおどろいたのが、道行く人々はみなⅯサイズのマリオの赤い分厚い帽子をかぶっていることだ。前頭葉に「Ⅿ」のマークが入っている。巨頭の人は「Ⅼ」サイズのグリーンの帽子となる。反対側にはボグワーツ魔法魔術学校の制服を着た生徒の一団が歩いている。どうやら異国の地に来てしもうたようだ。
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