見学順路は2階から開始となる。そこには対馬丸に関する資料や年表が掲げられている。DVDから生存者の証言も流れている。予約すれば、実際の生存者が「語り部」(かたりべ)として当時のありのままを話してくれる。だが「語り部」も高齢となりその数も残り少ない。
そこで証言が途絶えてしまわないように。対馬丸事件が風化してしまわないようにと、昨年、戦争を体験したことのない若い「語り部」が誕生した。戦争を語り継ぐことで、「語り部」をバトンタッチし後世に残そうという取り組みである。
記念館2階は、まさに対馬丸の甲板。ここから1階まで内部の階段で降りるという構造になっている。1階は対馬丸の船倉を模しているのだ。夜中に魚雷が船尾に命中し、爆発して浸水。対馬丸は船首を上にし、ほぼ垂直に近い形であっという間に沈んだ。犠牲者の多くは、この船倉に閉じ込められたまま沈んでいった。
だから1階(船倉)にはランドセルや鉛筆、数々の遺品、教科書、ノート、通知表まで展示されていた。当時の沖縄での国民学校生活を垣間見ることが出来る。学校の教室も再現されていた。算数のノートには掛け算の計算問題がきれいな字で書かれていた。そして、あの夜、みんなみんな悪石島の海に沈んでいった。
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