尾本パパはその道のプロだった。今では教育界でその名をとどろかせている。知らない人はいない有名人だ。本来は某大学の教授なのだが、今やTVのコメンテーターや講演会には引っ張りダコだ。数年前の軽井沢スキーバス転落事故での、教え子を亡くした時のコメントが今も痛々しい。
そんな彼に年金生活者は過去に会っている。盛岡で開催された、「寄り添い支えあう…」と題された、ある組織の学会の20周年記念特別講演としてゲスト出演されたときだ。実物を見るのは初めてで感動したのを覚えている。小ぶりであったが、愛嬌があって話が面白く、人を引き付ける魅力があった。
年金生活者は仙台空港経由で東北新幹線を乗り継ぎ盛岡入りした。尾本パパは2日目の学会発表の終盤にゲストとして登壇したのだ。演台脇から登場すると思いきや、不意を突いて後方の観客入り口からスキップで会場へ乱入した。学会参加者は皆立ち上がり拍手して、大歓声を上げている。凄い人気だ。
皆後ろを向いているのだが、なかなか視野に入って来ない。この時小ぶりだと知った。演台に向かうまで、各列の誰かに声をかけてマイクを向ける。その時点から双方向での講演がもう始まっていたのだ。「子供さんは今おうちで何をしていますか?」「貴女がここに来て寂しい思いをさせていませんか?」とか聞いて来る。特別講演の演題は「叱らない共感教育」だった。
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