年金生活者のシバオ君 6

ベント

すぐにかかりつけ医院に行き、主治医レカネマブの処方を希望するが、イヌ用はまだ承認されていないという。納得のいかない話だ。ヒトに使う前にイヌで試して効果確認しているはずだが。さらに処方するには、認知症テスト脳のMRIを撮らないといけないらしい。「うちではやっていない」という。

「そもそもイヌ語が出来ないと認知症テストは無理」とのこと。またもや、見捨てられてしまったではないか。それでもシバオ君たくましく生きて行く。やがて夜泣きがひどくなった。それも「ワンワン」ではなく、苦しそうにうめく。「ぎょえー ぎょえー一晩中わめく。これでは近所迷惑だ。

そのたびに体をさすってあげる。すると安心したのか、静かになって眠るのだが、しばらくすると、また「ぎょえー ぎょえー」の繰り返し。これでは身も心も持たない主治医相談すると眠剤が処方された。効かなくなると増量された。やがて食事を摂らなくなった。

好きなジャーキーを口元へ持って行くと、かろうじて食べる。そして低栄養で体中に褥瘡が出来た。痛いから泣く。だから眠剤が増える。ますます食べなくなる。悪循環を断つことは出来なかった。毎日大声で呼んでいた兄ちゃんを呼んでいた。そして兄ちゃんが会いに来ると、満足したかのように旅立った17の秋だった

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