ある時、少し深い海の方まで行った時があった。沖合だいたい2kmくらいか。その日はどういうわけか何も収穫がなかった。それまでしけが続いていて、やっと今日潜ることが出来たのに。ハラペコである。何か食べられるものはないか。はるか海底に四角い箱のようなものを見つけた。それが少し動く。いや泳ぐ。しっぽらしきものもある。
なんだこれは?四角い箱が泳いでいる。それもばかに大きい。30cm近くあろうか。海底まで潜り突いてきた。背中が甲羅のようで硬かったが、ヤスが食い込んだ。口がとんがっているが、なにかふぐっぽい。今日の食料にと大事に持って帰った。
ネットで調べたところ、どうやら「ハコフグ」の一種らしいことがわかった。長崎県の五島列島では食しているらしい。フグ毒のテトロドトキシンは持っていないと書いてある。ただパリトキシンという猛毒をキモに持っているという。「喰っている人がいるなら喰えるんじゃないか」私は腹も減っていたので、書いてある調理法に従って調理した。甲羅を四角に切ってフタを開け、内臓を取り出して刻む。それをミソとネギで和えて酒を加える。そして中に戻して甲羅のフタを閉める。全体をアルミホイルに包んで焼けと書いてある。
グツグツグツ いいにおいがして来た。我慢出来ずに、ごはんにのせて全部食べてしもうた。後から気づいたのだが、「キモ(肝臓)は取り除いて」と書いてあった。そんなこと言われても、どれがキモか私にはわからない。食べてしもうたものは取り返しがつかない。時は戻せない。また調理法には、小さく「食用は自己責任で」との表示も見つけた。まあいいか。旨かったんだから。その日はそのまま寝た。
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