成田空港検疫所 1

タビ

2~3日前からが痛かった。ビクトリアの街が乾燥しているためだと思っていたが、現実はそう甘くなかった。日増しにひどくなる。そう言えば、蚊帳をはっても蚊に足首を毎晩刺されたマラリア感染危険地域に指定されているから、ホテル側も気を使っているのだ。外務省注意喚起している。

かゆみはムヒでしのいだ。咽頭痛はコルゲンコーワのうがい薬でも治らない。浅田あめも効かない。悪い予感は的中した。帰国時のビクトリアフールズ空港悪寒戦慄が止まらない。空港はクーラーで冷房しているのだが、これが寒くていられない。居場所がない。これは、得体の知れない何かに、感染してしまったと気づいた。

しかし体温計など持っていない。添乗員に相談しようかとも思ったが、考えた。もし現地のメディカルセンターにでも連れて行かれて、足止めを喰ったら、日本には帰れない。アフリカで感染症の治療をしたとしても、十分な治療は期待出来ない。もし重症だったら助からない。ここはどんなことをしても帰国しなければ。

ここから、成田まで20時間の闘いが始まった。脱水に注意して、水分補給に努めた。さらに抗生剤や解熱剤は、熱形把握のため控える必要があった。確定診断の妨げになることを、怖れたからだ。だからきつい。自分の免疫力だけで、持ちこたえるしかない。21,100㎞彼方の成田検疫まで持つか。大きな賭けだった。

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