焼き場の二人

コキョウ

夕暮れ時に、秋の空高くカラスが鳴く。哀愁がこの時期漂う。昔、近くの焼き場にふたりは暮らしていた。兄と妹のふたりだけだ。両親は見たことがない。いつもみんなから「焼き場の子」「焼き場の子」といじめられていた。クスリ漬け年金生活者も昔、友人と一緒になりゆきからいじめた記憶がある。

は後に松電ボウルとなった。その向かいの焼き場だ。というか神社もいっしょにあったような気がする。いつも夕暮れ時になると、ふたり連れ添って学校から帰って来る。そして焼き場に向かう路地に消えて行く。いつもふたりで励まし合っているように見えた。

学年がはなれているから、当然学校が終わる時間も違う。いつもの授業が終わるのを、校庭の片隅でブランコにすわり目立たないように待っていた。いじめに合わないように二人して帰るためだ。兄が妹をかばっていた。とてもいじらしかった。いや兄はたくましかった。

ある時兄は泣いていたをすすって泣いていた。遠目に見てもわかった。それを妹が顔を見上げながら、必死になぐさめている。からだを寄せあいながら、焼き場につづく路地に消えて行った。どんな会話だったのだろうか。つらい学校生活はいつまで続くのか。こどもながらに胸がいっぱいになったのを覚えている。

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