ある2月の寒い日、定例の群民フルマラソンが全島あげて行われた。群民フルマラソンを毎年2月に実施するとは、全国的に見てもここだけではないのか。素晴らしい発想である。ほかの県はこの時期、強烈な寒波到来と大雪に苦しんでいるのに。まるで天国に一番近い県なのだ。だから死人も多い。
そして我が同胞も、このXプールから出征した。我々の大先輩で、なんとあの県警本部長の上司なのだ。御年90歳と言う。昭和一桁の生まれだそうだ。そして、昨日の本レースにおいて完走された。ペースメーカーなどの、人工の動力源を使うことなく、自分の心臓だけで走り抜けた。もちろん心臓は一つである。
〇嘉さんという。そして翌日も何もなかったように、このスポーツクラブに泳ぎにいらした。その場に居合わせたクラブ員全員が、拍手喝采の称賛をした。みなぎる体力、躍動する筋肉、流れる血潮。期待したほどではなかったが、とにかく生還した。素晴らしい栄光である。我々同胞のミラーである。
そう言えば、いつも県警本部長に付き添っている直属の親衛隊の姿が一人見えない。あのペースメーカーが、くっきりと前胸部に浮き出たトライアスリートだ。県警本部長はポツリと言った。「あれは、この前死んだよ。私と「動悸」。ペースメーカーが逆まわりしてねえ。ハッ。ハッ。」「何事も、やり過ぎは禁モツじゃよ」。
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