競い合った故名腰君 1

シゴト

かつて競い合った同僚故名腰君がいた。競い合った挙句に、どちらも昇進せずに平社員のまま定年を迎えたが。それでも認められようと、認められまいと競い合ったのだ。会社の出勤時間08:00。でも定刻に出社する人などいない。どんなに遅くても07:30には出社する。フロアで仕事の準備に入るのだ。

皆、出勤するのだが朝は大渋滞。そこでクスリ漬け年金生活者は、長年の経験から早朝に出勤していた。05:50起床。着替えをして06:10自宅を出発する。まだ薄暗い国道を疾走して、06:30に社の近くの契約駐車場に到着。早朝だから道も空いていてスイスイだ。朝の混雑時には40分以上かかる道のりが、半分の20分で済む。

着いたらウォークスルーの車内を移動して最後部のシートに座る。そして前のシート背面の折り畳みテーブルをひろげる。そう優雅朝食の時間だ。平成の車内朝食というと、カロリーメートミルクであるが。もっとも昭和繁忙期「24時間闘えますか」の時代には、ウイダーインゼリーリゲインという過激さだった。そのあと、車内で朝刊を見ながらひげを剃る。

そして07:00まで横になって仮眠をとる。それから出社だ。深夜に呼び出された人がいなければ、もちろん一番乗りである。異動依頼、長年続いた。そして続くはずだった。ところがある日、駐車場から職場へ向かって歩いていると、先を行く者がいる。歩行認証から、それはなんと同期故名腰君だったのだ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました