冬の寒い日だった。連日雪が降っていた。学校から帰るとすぐにテレビにかじりついた。別に腹が減っていたからではない。隣町の軽井沢で大事件が発生していたのだ。今日も生中継が続いている。24時間テレビなど比ではない。まあその時代には、「24時間テレビ」などという言葉すらなかったが。
昨日は警察官が射殺される瞬間を、ボカシも入れずなんとあのMHKやSBCが生中継してしまったではないか。これはドラマではなく、目の前で今起こっている現実なのだ。なんと視聴率は98% ラジオも含めたら、100%を優に超えていただろう。
今日は、なんと鉄球が飛び回っている生中継だ。いったい何が始まったのか。どのチャンネルも同じ映像だ。その鉄球が山荘の壁を突き砕いている。時代遅れだ。トロイの木馬か。なんと中世ヨーロッパの戦闘方式ではないか。鉄球をテコのような発射台から発射して敵の要塞を破壊する。今回はKOMATSU重機だが。
敵も黙っていない。クレーンの操縦者を標的に連合赤軍のライフルが火を放つ。操縦者はなんと一般人だ。自衛隊員ではないのか。命がけである。もちろん運転席の周りは形だけ鋼板でかこってはあるが。全部かこってしまっては視界がきかず操作出来ない。雪の上には盾をもった無数の機動隊員がへばりついていた。
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