「サクサクサク」かいこさんは今日も食べます。凄い、食欲旺盛です。外の雑踏が消えると、桑の葉をかじる音が部屋中に響きます。「サクサクサクサク……」聞いていて気持ちよくなるくらいです。間違っても「エコエコアザラク」ではありません。
一列に並んでいっせいに、端から熱中して食べて行きます。来る日も来る日も。だから、不眠不休で桑の葉を枝ごとあげなければなりません。幸いにも裏庭に桑の木があったため、食料に困ることはありませんでした。桑の葉はAEONやホームセンターには売っていません。
桑の葉が手に入らないクラスメートは、数人で家に分けてもらいにやって来ました。学校の先生に相談したのでしょう。近くの農家にも分けてもらいに行ったそうです。クラスメートのかいこさんは、お腹をすかしているのです。好きなだけ分けてあげました。みな必死に理科の課題を頑張っているようです。
理科の授業で「かいこの一生」を勉強します。そして実験を兼ねて、ひとりひとりでたまごから繭まで作り、そこから絹糸(シルク)を取り出すという課題です。うまくいくかどうかは、ふ化する温度、かいこに与えるエサの量、頻度、脱皮の回数、環境温度……。多岐にわたります。すべて細かく調べて実践しないと絹糸はとれません。
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