「せっかく地球の裏側まで足を運んだので魔女の家も訪ねてみましょう。いやこちらが表手側で地球の裏側が日本でした。魔女に呪われます。魔女の力は現在も強大で政権をも左右し、政界有力者も多数訪れるとのことです。「対立する候補者を呪い殺してくれ」との相談など、より強力なパワーを持つ魔女の奪い合いになるみたいです。病気やかけられた呪いを解くのも魔女の仕事です。」以上が現地ガイドの説明である。だからボリビアの法律も魔女の家には関与しない。万一取り締まったら、かかわった人達が呪われて命を落とす危険があるからだ。
にわかに22世紀の日本からすれば信じがたい話だが、実話のようだ。ラパスは空港に着いた時から息が苦しい。3650mの標高だから仕方ないが、魔女の家があるリナレス通りまではまた急な上り坂。息がきれる。目的の家があったぞ!いくらクスリ漬け年金生活者でも度肝を抜く。店内いたる所に子供のミイラがぶら下がっている。大きいのも小さいのもあり、それぞれに値札が貼ってある。
なんか得体のしれない香が店内に漂う。まともに吸うと幻覚を見るので、初心者は絶対に吸わないようにとのガイドの説明。ガイドも添乗員も家には絶対に入らない。どうしてもという希望者だけが自己責任で家に入れとのこと。クスリ漬け年金生活者たちは初心者ではないので、もちろん我先にと家に入った。得体のしれない粉薬や幻覚をみる香、数々のミイラ、ナティタス(人の頭蓋骨)、クリーム、呪い人形、何かの肉、骸骨。そして白い粉まである。もちろんボリビア名産のコ○イ○だ。知らずに日本に持ち込んだら即逮捕される。魔女の家は危険な家だ。素人には禁忌である。
店の奥ではヤティリ(呪術師)が、かけられた呪いを解く儀式をしていた。被儀者は頭に大きなヒキガエルのミイラをのせられている。頭がクラクラする香が焚かれて煙が漂っている。吸ってはいけないと注意されていたが、皆深呼吸して吸い始めた。吸うとなぜかリラックス出来るのだ。しばらくすると気分がウットリして来て、辺りがピンク色に見えて来たではないか。危ない、このままではトリップしてしまう。皆に声をかけ合い急いで家を出た。
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