メキシコシティからAeromexico 030便にて次の目的地、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスを目指す。約9時間のフライトである。40℃近い熱波に苦しむ日本とは別世界。南半球は真冬だった。長袖のポロシャツに厚手のジャンバーを着こむ。それでも寒い。
悲劇は起きた。ブエノスアイレス国際空港で一人の荷物が出て来ない。いくら待っても出て来ない。やがてベルトコンベアが止まった。俗に言う「LOST BAGGAGE」である。女性は蒼ざめた。50代の一人参加だ。ツアーコンダクターはベルトコンベアにもぐり、そして空港内を走り回る。
現地ガイドも駆けつけ空港内は騒然となった。ツアー一行は、ほったらかしの放し飼い状態へ。だからトイレに行く者、到着ロビーから出て売店へ行く者、空港から出てバス停に向かう者。皆自分勝手に動き始めた。そのうちに現地ガイドがカオスに気づき皆をバスに誘導した。
タグをもとに航空会社が調べたところ、その荷物は積まれていないことがわかった。まだメキシコシティの空港にあるのか。もし見つかっても、早くて明日の同じ便となるらしい。女性は全身の力が抜け放心状態となって、うつむいている。 唯一救いだったのは、ここブエノスアイレスには2泊することだった。
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