次に財団が目指したのは、ヒトとブタとのハイブリッド化である。ヒトブタキメラ胚の実現だ。遺伝子操作されたブタの受精卵に、ヒトの多機能性幹細胞(IPS細胞・ES細胞)を注入することに成功した。あらかじめ、ブタの受精卵を遺伝子操作して欠損する臓器を作っておく。
すると、注入されたヒトの多機能性幹細胞がそれを補完するのだ。腎臓を形成するのに必要な遺伝子を欠損させておくと、ヒトの多機能性幹細胞で補完されてヒト型腎臓が生まれる。こうして移植用の腎臓が作られるのだ。ヒト型腎臓だから、免疫拒絶反応も起きにくい。この技術は既に実用化されている。
次に目指したのが、人間の感情や知能をもったブタだ。いや、もうブタではなくなる。すなわち「ブタ人間」。ブタの受精卵を遺伝子操作して、脳に分化するのに必要な遺伝子を欠損させる。また生殖系に分化する遺伝子も欠損させておく。そこにヒトの多機能性幹細胞を注入する。するとどうなるか。
ヒトの多機能性幹細胞で補完されて、ヒト型脳が作られてしまうのだ。この受精卵を動物子宮に移して発生させる。生殖系もヒト型に置き換えてあるから実際に産まれて来る。これは「キメラ胚を用いた脳ヒト化」と呼ばれる最先端の技術である。人間らしい心、知能を持つ動物が産まれて来るのだ。
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