夢洲DASH-2

タビ

アナウンスで別の車両へ移るように説得する。しかし、ここで他の車両に移ることは「夢洲ダッシュ」からの脱落を意味する。だから諦めきれないのだ。ドアが閉められないから、列車は出発出来ない。「おくれ」が生じている。それでも乗り込もうとしている。「無理だ!無理だ!」の怒号が車内に響く。

昭和の良き時代であれば、ホームに乗客を押し込む専門の駅員が配置されていたが、今は人手不足でいない。やむを得ず、列車は5分遅れで、尻を挟んだまま発車した。夢洲駅まで車内は地獄と化した。四方八方から押されるから、十分な呼吸が出来ない。呼吸が浅くなる。

さらに冷房のために密閉状態。車内の酸素濃度がうすくなり、息苦しい。「ここはマチュピチュチチカカ湖か?」と勘違いするほどだった。酸素飽和度90%を切る乗客が続出した。低酸素で頭痛に襲われる。夢洲駅までの10分間が何時間にも感じられた。

そして夢洲駅のホームが見えた時には、「なんとか助かった」と安堵した。しかし、本当の地獄絵図はここからだった。列車のドアが開くと、乗客が爆発したかのように、車外へほおり出される。ドア付近にいた人は、後ろの人にはじき飛ばされて、一瞬宙を舞う

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