03:50起床。アパホテルの朝食が食べられないのは心残りだ。今日はいよいよ「夢洲ダッシュ」決戦の日。まるで遺書でも書き残しておくべきだったかもしれない。なにせ生還できる保証などどこにもないのだ。大阪メトロ中央線始発05:19。本町駅でも6号車乗車口には長い待機列。それでも全員乗れた。しかし弁天町駅で地獄の門が開いた。
ドアが開いた瞬間、外から押し寄せる群衆。怒号と罵声が渦を巻き、車両は一瞬で戦闘ゾーンに。私は酸素を奪われ、ここで窒息死するのではと本気で思った。長い10分間だった。ようやく夢洲駅に着くと、今度はドアが開くと同時に津波のような人波が私を車外へほおり出し、私は無惨にもにホームへと倒れ込んだ。だが悲劇はここから。
立ち上がる間もなく、後続の群衆が私の背中を次々と踏み抜いていく。「あ、肋骨が…」と聞こえたのは気のせいではない。群衆が過ぎ去るまで、踏みつけられて立ち上がれなかった。だが人間は意外と丈夫だと悟った瞬間だった。ボロボロの体で何とか立ち上がり、夢洲駅の大階段を駆け登る。何とか中継車の最後尾に着くことが出来た。
だが油断した私はトイレに立ち寄り、帰ってくると列はすでに07:00のゲート前への大移動。目の前には無数の人間の壁。上下左右どこを見ても鉄壁の肉の壁。完全に孤立した私は、並んでいた列がわからない。まるで砂漠に投げ出された旅人のように彷徨う羽目になった。こうして「夢洲ダッシュ」は、骨と誇りをかけたサバイバルゲームであることを、私は身をもって知った。命が助かったことに感謝したい。

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