フランスパビリオンを出るころには、ウオータープラザでは「アオと夜の虹のパレード」が、ちょうど始まるところだった。**すべての命による祝祭がはじまる** 「アオと夜の虹のパレード」は、まるで心の奥に直接届くような、鮮やかで、そしてどこか切ない物語だった。噴水による水上スクリーン。
舞台いっぱいに広がる光と色の洪水。真っ赤な衣装をまとった主人公・アカが、失われた“虹”を探して旅をする――そんなシンプルなストーリーなのに、そこに込められたメッセージは深い。人の心の中にも“虹”があり、それを失うのは恐れや争いだと、静かに語りかけてくる。
ダンサーたちの動きは炎のように情熱的で、音楽はまるで魂の鼓動のよう。スクリーンに映し出される映像がリアルタイムで舞台と連動し、雨や風、光の粒までが生きているように感じられた。クライマックスでは、アカが空へと舞い上がり、七色の光が会場全体を包む。観客の頬にも光が反射する。
まるで自分自身が虹の一部になったような感覚に――その瞬間、涙が止まらなかった。すべてが終わったあとも、胸の奥で音楽の余韻が消えず、ただ静かに座席から立ち上がれなかった。「希望は、誰の中にもある」――そんなメッセージを残してくれた「アオと虹のパレード」。万博で出会った奇跡のような時間だった。

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