USJ最凶のアトラクションは何といってもフライングダイナソーであった。高速で落下、上昇を繰り返すだけでなく左右にローリングしながら落ちてゆく。風圧も激しく、眼も開けていられないほどの速さである。どちらが下界なのか上界なのか一瞬忘れてしまう。そう、走行中は常に空間識失調を起こすのだ。
はるか下界には、振り落とされてもいいように安全ネットが張ってあるのだが、この高さから落ちてあのネットでは心もとない。そして最上部に来た時に、背面状態で急停車するのである。「ただいま、急停車しました。誘導があるまで絶対に動かないで下さい」と緊迫した声でアナウンスが聞こえる。
見下ろすと下界には赤色灯を点けた、救急車や消防車が集結しはじめた。人だかりが出来はじめ、みんなが見上げて手を振っている。なんとトランポリンのようなマットを直下に敷きはじめたではないか。恐怖を煽るための凄い演出である。それともトランポリンでジャンプするバンジージャンプだったのか。
「救助隊が向かっています。それまで絶対に動かないで下さい」緊迫した演出は続く。すると彼方下から、「消防隊」の制服を着たスタッフが命綱をつけて階段を登り始めたではないか。すごい。なんという手の凝った演出だろう。しかし重力には逆らえない。頭に血が上る。一人また一人と下界に落下して行く。ところがみなトランポリンで跳ね返って同じ高さまで戻って来る。計算されている。中には笑顔で手を振っている者もいる。しかし全員、安全に救助隊に収容された。
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