深夜徘徊

キカイ

気がついたらトイレにいた。電極が束ねられて、ターバンのような帽子をかぶっている。今流行の中東風な柄だ。「ここはどこだ?何しに来たんだ?」「まさか深夜徘徊してこんな遠いところまで来てしまったのか?」頭の中がグラグラして何がなんだか思い出せない。

あたりから獣のようなうなり声が聞こえる。壁が共鳴して振動している。それも一匹ではなく何頭もいるみたいで合唱している。外は大雨。稲光と雷鳴がとどろく。しばらくして思い出して来た。そうだ、ポリグラフ検査中だったんだ。一過性健忘とやらに、やられてしまったみたいだ。野獣のようなうなり声は、ほかの患者のイビキだったのか。

病室に戻ると、看護師が待っていた。テレビは破壊されていなかった。壁もへこんでいなかった。よかった。安堵感とともにまた入眠した。4時に隣の病室からの野獣のうなり声のようなイビキで目が覚めた。しまった!トイレに起きた時に耳栓をするのを忘れてしまったのだ。

一過性健忘とは恐ろしい。話しに聞くと、眠剤を飲んだことを忘れ、夜中に目覚めては何度も何度も眠剤を飲む人もいるらしい。クスリ漬け年金生活者のみなさん、睡眠薬の殻は決して捨てないで、朝まで目につくところに置いておいてくださいね。私も失敗してから、もちろんそうしています。

5時まで待ってようやく電極を取り外しに来てくれた。無事に退院出来そうである。正面玄関はもう患者が待っているので、裏口から目立たないように顔を隠して出るように説明された。結果は一か月後になるとのことだった。 また早朝は近くの歓楽街でよく検問があるので、気を付けてその場所は避けて帰るように勧められた。そして必ず日の出前には自宅に着くように念をおされた。やっぱり、私はゾンビだったのか?

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