プール漬け年金生活者

プール

異次元の少子高齢化、令和の実態。今や平日の昼、スポーツクラブのプールは老人福祉施設と化している。デイケアセンターあるいはリハビリ施設とでもいうべきか。表示板も渋い。おもわず目を疑ってしまった。「便はトイレで」とか「パンパース使用をご遠慮下さい」とかある。

まさかパンパースの上から水着を付けて泳いでいるのか。それとも東レから水中用のパンパースが新しく開発されたのか?双方向防水仕様のパンパース?最近のテクノロジーはすごい!

「私はね、両足とも人工膝関節でね、心臓にはブタの弁が入っているんですよ。ここに来ている人はみんなそうですよ。だからもうここは障害者施設ですよ。ハハハ」愛想の良さそうな小太りの、明らかにプール漬け年金生活者とわかる一人が話しかけて来た。

「私も去年ちょうど人工股関節に部品交換したんですよ。新品はやっぱりいいもんですよねえ」と私が話すと「あんたもですか。気があいますねえ。ほんとにここは障害者施設になってしもうた。ハハハ」彼は話を続ける。

「私なんかねえ、定年してから23年ですよ。毎日かかさず通っていますよ。それでこんなに健康なんですよ。ブヒブヒブヒ」そばで見ると、マルマル太った方で笑顔も優しく、なんか気のせいかブタに見えて来た。 人工膝関節と人工弁。それなのに23年間毎日かかさず通っている?入院しないと出来ない手術だと思うが。少しつじつまが合わない。まあいいか。この歳にもなると小さなことは気にしなくなるのだろう。

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