ボイス オブ アメリカ

シゴト

激働の昭和クスリ漬け年金生活者24時間頑張る。残業は当然のこと。扉を開けると、何人もの新入社員がテーブルをはさんで対面でセールス訓練をしている。「有名大学の大学生でしたらご存じですよねえ。あの有名な、ボイスオブアメリカ。あの放送局は、実はわが社の親会社が経営に参画しているんですよ…」「今モニターキャンペーン中でして選ばれたあなただけに特別価格で提供出来るんですよ…」

ここは西新宿にある某外資系英語教材販売会社のトレーニングルーム。社員同士が客とセールス側になりきり、マニュアルどおりに必死でセールスの対話訓練をしている。相手の眼を見て大きな声で笑顔を忘れずに、そして真剣に、時には大きなポーズも加えて。厳しい指導の声がとぶ。

果たして説明していることが、真実なのか否なのかは誰も知らない。それを有名大学の学生信じ込ませるわけだから、かなりの訓練が必要だった。オレオレ詐欺の訓練以上か。途中から出社しなくなった同僚もいた。上司は力説する。「誰でも英語が話せないよりは、話せた方がいいと思っている。だから必ず売れるから安心せい」 でも、50万円以上もする英語教材が果たして本当に売れるのか?私は不安だった。

あとで先輩から教えてもらったが、「そう思っているうちは絶対に売れないよ」「必ず売れる、こんな素晴らしい商品が売れないはずはない。と確信出来るように思いこめたら、絶対に売れるよ」 だそうだ。この時はまだ半信半疑だったが、あとで納得出来た。ここは外資系だからフレックス制で出社は自由。給与も外資系らしく歩合制。だから残っている人は、それなりに実力のある人たちだ。というか、売れなければ給料がないから自然淘汰されていく。外資系は年功序列などなく全て実力主義だった。もちろん実力しだいで給与の上限もないのだ。

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