日が暮れてからのアブシンベル到着となった。神殿に近づくとナイル川からの風が涼しくて心地よい。ラムセス2世の巨像は、見上げるともの凄い迫力だ。一枚岩をくり抜いて造られた神殿は圧巻である。誰でもしばし息をのんでしまう。アスワンハイダムの建設によりナセル湖に沈む前に、ユネスコらの協力によりここに移築された。
一寸たがわず、この巨大な神殿を移築した現代の技術にも感動を覚える。にわかに信じ難い事実である。しかし4500年も前にこの神殿を造った技術と労力には、ただ驚愕する。そもそも4500年前のピラミッドの建築方法こそ謎である。諸説あるが、いまだに解明されていない。エジプト古代文明は神秘に満ちた国だ。
あたりが真っ暗闇になると、大神殿と小神殿がライトアップされ「音と光のショー」が始まる。英語・中国語・フランス語・日本語・他言語とショーの時間が決められていて、それぞれのチケットを購入する仕組みとなっている。だから観光客も入れ替わり、混雑することはない。神殿の壁にラムセス2世や妃のネフェルタリなど当時のエジプトの様子が映写される。ネフェルタリのために小神殿は造られたとされている。
感動的で、しばし4500年前の世界に引き込まれてしまう。ガイドの説明を聞いて、見て回るだけの観光とは雲泥の差である。真っ暗な夜空に神殿だけが幻想的に浮かび上がる。一生の思い出に残る旅となる。翌日、アスワンハイダムを訪れた。ナイル川の氾濫と干ばつを食い止めるために造られたダム。ナセル湖の湖水も濃い青色だった。ナセル湖は琵琶湖の10倍以上の大きさで南端はスーダンまで続く。ナイル川クルーズに加えてナセル湖クルーズも今人気だ。
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