気球はバーナーを再び点火して高度を保つ。地上の木々に接触しないように。地上のスタッフと無線でやり取りが続いている。向こうもこちらを探しているようだ。その間も気球は横風にゆっくりと流されて行く。やはり一度幽体離脱してしまうと、もとにもどるのは難しいのか。スムーズに戻るには、エジプト人が考えたようにミイラを地上に準備しておくべきだったか。
だが心配には及ばない。こんなことは日常茶飯事のようだ。やがて遠くに四輪駆動のトラックがみえた。荷台のドアにNISSANのマークがついた、あのトラックだ。日産はここまで来てよく頑張っているなと思った。でも中東での紛争や反乱軍に最も信頼されている車はトヨタのランドクルーザーだから、納得がいく。
NISSANのトラックが荷台を開け、土煙を上げて接近して来る。この荷台の上にゴンドラごと着陸するのだ。気球の動きに並走してトラックが走る。荷台にはスタッフが乗って見上げている。トラックのドライバーも必死だ。木々や岩に乗り上げたら車がひっくり返る。気球は徐々に高度を下げる。荷台のスタッフがゴンドラをつかんだ。危険な作業。ゴンドラとトラックに挟まれたら命はない。
真剣勝負が10分くらい続いたが、無事にNISSANトラックの荷台にゴンドラは着陸した。私たちは地面に直接着陸しても問題ないが、業者にとってはゴンドラをトラックに載せないと帰れないらしい。みんなの無事な生還を祝い、輪になってシャンパンで乾杯した。そんなに気球は危険なのか?そういえば人数分準備したシャンパンが一つ残っている。あぁ、一人は本当に幽体離脱されたようである。
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