その昔、クスリ漬け年金生活者はコスモに惹かれていた。しばたはつみのCMソング「今がよければMay Be 明日もいいはずMay Be ハートは熱いか。熱いか。ラグジュアリースポーツ ドラマチックコスモ」で有名である。そして密かに手に入れていたのである。杉並区高井戸のマツダ店で。
真っ赤なマツダコスモAP リミッテッドである。13-Bロータリーエンジンの静かでなめらかな加速は今のハイブリッド車に相当する。そしてそのロータリーパワーは135馬力に達し、当時では排ガス規制で苦戦する他社を圧倒し驚異的であった。APとはもちろんアンチポリューション(低公害)の意味である。
コスモは高級スペシャリティカーに位置し、マツダのフラッグシップ車だった。現在では赤の13-Bリミッテッドはレストア価格450万円近くにまで跳ね上がっている。まず手に入らない。ウッドパネルにウッドステアリングそしてオートマチックレバーもウッドである。贅をつくした車体であった。ロー&ワイドボディでロングノーズと北米市場も意識していた。重量もあるためか、路面に吸い付き滑るように走ったのを覚えている。
反面13-Bロータリーエンジンは弱点も抱えていた。燃費がレシプロエンジンに比べてかなり悪いのである。リッターあたり4~5kmしか走らない。通勤には使えない。だからコスモのオーナーは本当にコスモが好きな人に限られていた。乗り込んだ時に全身を包みこむ安堵感、そしてステアリングを握った時のこころ踊る躍動感は今でも他車では味わうことが出来ない。
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