年金生活者と過疎の村

ブレイク

住民はクスリ漬け年金生活者だけになって部落は過疎化一直線である。人々は体が不自由で動けないから家にばかりこもっている。だから村には人影はない。話し声はもちろんしないし、音もしない。たまに気の向いた時だけ、思い出したようにセミが鳴く。でも部落にひとつだけあるバスの停留所には、一日1便だけバスがやって来る。それも16:10 毎日決まった時間に来る。

子供はもう部落にはいないので通学時間帯には来る必要はなくなった。なら16:10下りのバスは何の目的でこの時間なのか。普通の時刻表は平日と祝祭日で分かれるが、年金生活者は毎日が日曜日だ。だから分けてもこの部落では意味がない。その辺はバス会社も熟知しているようだ。じゃあ上りのバスは何時なのか。

100mほど行ったところの道路の反対側に黄色のバス停を見つけた。急いで時刻表を見ると、剝がされていてない。時刻表のないバス停は初めてだ。上りのバスは来ないのだ。来ないのになぜかバス停だけはある。かつては走っていたらしい。バス停が残っているんだから。要するに、この部落には下りのバス1本だけで十分だ。上りのバスなど必要ないと、バス会社に判断されたようだ。

悲しい。路線の始発は空港ターミナル。そして16:10にこの部落を通過する。だが空港方面への上りのバスはない。やっと16:10の意味がわかって来たぞ。都落ちして来ても、足もとが暗くならないうちに部落に到着するようにと。そしてこの部落に着いたら、もう二度と都会へは戻れない運命なのか。この部落の現実をバス会社だけが、冷静に分析していた悲しい

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