年金生活者のシバオ君 1

ベント

クスリ漬け年金生活者にはかつてがいた。シバオ君0歳児の時に、「親こぼし学園」から今の家に引き取られて来た。何人もの児がオリの中で騒いでいる中、シバオ君だけが行儀よくうつむいて親が来るのを静かに待っていた。何もしゃべらない。だからになった。シバオのこれからの一生を楽しい、悔いのない人生にしてあげようとその時思った。当時の価格で7.8万円だった。(注射2回済)

抱き上げると恐怖から震えていた。自宅に向かう車に積んだ段ボールの箱の中でも、ゴトゴトと小刻みに震えていた。自宅について箱を開ける。中にいた。びっくりして立ち上がったが、まだ小刻みに震えている。可愛い。前からいた児歓迎して、ぬいぐるみおもちゃのボールをあげていた。ミルクと離乳食を少しだけ食べた。雑種と比べて血統書付きは体が弱いのか。少し心配になった。

何もしゃべらなかったが、しばらくして「クン クン」と何かを訴えて来た。トイレである。庭に出すと自分で排尿して来た。まだ立っては出来ずにすわってした。0歳児で部屋を汚さない配慮をするなど、とても頭がいいと思った。それからは自由に部屋と庭を行き来出来るようにした。お漏らしもせずに用をたすとまたちゃんと部屋に戻って来る。

シバオ君はこの家を気に入ったようである。礼儀正しく穏やかだから、しばらくして、食事は家族全員で摂ることになった。御膳の回りにみんなが座る。もちろんシバオ君の席もある。シバオ君も「おすわり」をして待つ。やがて食事が運ばれて来る。だがシバオ君は人間のおかずには手を出さず、ひたすらドッグフードだけを食べていた。本当に礼儀正しい家族思いの児であった。

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