年金生活者のシバオ君 2

ベント

シバオ君は家族みんなに愛されてスクスクと育っていった。庭に投げられたボールを一目散に得意げに拾って来たり、放課後は年長組と追いかけっこをしたり、自由時間は芝生に寝ころんで日向ぼっこをしたり、本当に幸せそうだった。毎朝のウオーキングにもかかさず連れて行ってもらっていた。チェーンの音がするだけでウオーキングに行くと気づき、よろこんでクルクルとその場で踊った

本当は食用禁止なのだが、ケーキが大好物であり家族の誕生日を始めるとケーキの臭いに気づき、興奮して家中を走り回った。おすわりをし続けてどうしても欲しがるので、スズメの涙をあげた。それでも大喜びだった。「ケーキをあげると代謝出来ずに死んでしまうよ」と長男がさかんに注意していた。このように家族の愛情につつまれて育って行ったシバオ君であるが、シバオ君もまた家族に癒しをあたえ、時には生きていく元気もくれた。

悲劇に起こった。ある時を境に魔法をかけられたように、シバオ君の成長がピタッと止まってしもうた。それからは大きくも小さくもならない。あれには、びっくりした。体重4.5kg 身長35cmから大きくならない。あわてて病院を受診すると、「マメシバ」という種類なのだという。大きくなってもマメ粒大にしか成長しないとの説明。

直径35cm 重量4.5kgの豆とは何のマメか?インゲンのマメはそんなに大きくない。スイカはマメか。かぼちゃもマメだったか? シバオ君は人がよすぎて用心棒にはならなかった。不審人物が侵入して来ても、遊んでくれると思い喜んでじゃれついているのだ。全く怖いもの知らずに育ったものである。庭はフェンスで囲まれているから、シバオ君の世界には天敵が存在しないのである。

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