年金生活者のシバオ君 5

ベント

やがてシバオ君は病気ひとつせずに、順調に年輪を重ねて行った。いつの間にか15歳を迎えた。人間でいえばカジマヤーである。獣医も驚いていた。「まめ柴はそもそも短命なのだが凄いね」毎年、ワクチン接種するたびに腰を抜かしていた。もちろん食事には気を使っていた。

昔の犬は人間と同じもの、そう残飯みそ汁かけごはんなど余りものをあげていた。でも今の犬は違う。ドッグフードが原則だ。贅沢なのだ。さらに歯を強くするために骨付きジャーキーなどを与える。塩分なし糖分控えめ。さらに合成保存料などは使えない。だからヒトが食べるものより値段が高いものもある。

しかし歳には犬のテロメアも抗えない。15の春から視力が衰えはじめたのだ。水晶体が濁っている。そう白内障だ。獣医に相談したが、「うちでは手術出来ない」という。ネットでやっと探し出したが、県内に2か所しかない。それに片目だけで50万円の手術料。さらに10歳以上は手術していないとの注意書きが…

諦めるしかなかった。手術の出来る体力はもう持ち合わせていないのか。そんなにまで長生きしているということか。自分を納得させた。それでもシバオ君嗅覚と触覚で今日を生きていく。たくましかった。ヒトも見習うべきだ。そして16歳認知症が進む。ヒトと同じアルツハイマー型だった。

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