年金生活者ベースキャンプへ

プライベートビーチ

早速家族へ電話をかける。「無事に車まで戻ったから、海保には連絡しなくていいからね」まだ息をきらしながら話した。「ハア? ハア?」妻は全く事情を理解していないようだった。そこで、雨のなか一晩ビーチで夜を明かしたことを話した。服を着てハンドルは握ったものの、不安があった。

夜間の大雨でぬかるんだ路面。このジャングルをこの車で脱出できるかだ。ジャングルを走れるだけ走って、畑を突っ切り密林まで乗り入れている。心配だ。4WDのロックモードに入れる。スロコンをOFFにしてゆっくり走り出す。進むにつれ、フロントウインドウ全体が木々で覆われて前が見えない。視界が効かない。道だと思う方向へ勘を頼りに進める。キビ畑にでも落ちたら、これまでの苦労が水の泡だ。

何とかタイヤが空転しながらも、ジャングルを登り切り、畑のあぜ道まで脱出することが出来た。なつかしい風景だ。遠くに島の一周道路が見えた。あとは30分走ってベースキャンプに戻るだけである。大雨がいつしか豪雨となっていた。前が見えないほどだ。大雨警報が出ていた。もし、まだあの死のプライベートビーチに取り残されていたら… そう思うとゾッとした。

しかし車で走り出したはいいものの、どこを走っているのかわからない。「この道でいいのか?多分」 24時間以上寝ていないのと極度の疲労から、頭がボーッとして夢の中にいるような気分だ。市内に入ると大雨の影響で大渋滞となっていた。臨時ニュースで「自衛隊施設で何者かが銃を発砲二名心肺停止」との報道が流れていた。たいへんなのは、私ばかりではないようだ。

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