幽体離脱した年金生活者

タビ

トルコの大地がだんだん遠ざかる。予報通りの無風状態。ゆっくりと気球は垂直に上昇して行く。地上で手を振っていたスタッフ米粒となった。バーナーを小刻みに噴射して、スタッフは上昇速度を調整している。まわりを見回すと、カッパドギアの空を埋め突くすほどの大小さまざまな気球が浮いている。気球それぞれに華やかなデザインが描かれている。これだけでも絶景である。

カッパドキア気球に乗るのは、まわりの奇岩岩山を空からより接近して見るための観光である。ここにしかないマッシュルーム型の数々の奇岩を、同じ高さまで上昇して気球からじっくりと観察することが出来る。奇岩の細部穴の中まで見える。一生に一度は経験したいツアーで全世界から観光客殺到する。クスリ漬け年金生活者も是非訪れて、一足早く幽体離脱の体験をしてほしい。

三姉妹名前が付けられた奇岩もあり、大変ユニークである。なんでこんなものが出来たのだろうか。年金生活者たちがまわりに見入っていると、スタッフはおおあわてに気球をコントロールしている。奇岩にバルーンが接触でもしたら、バルーンが破れて地上へ真っ逆さま。気球どうしが接触しても同じ運命命はない。まあ幽体離脱しているから関係ないか。

一度幽体離脱したものを、もとに戻すのは至難のワザである。なんせ気球は推進力上下だけ。だから着陸地点などは決められていない。その日の風向きによって変わる。あとはトルコ人スタッフの腕しだいとなる。バーナーで熱するのをやめると気球は徐々に降下を開始。やがて地上のスタッフが見えてくるはず。でも下にはだれもいないぞ。どうしたことか?

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