憲兵隊長登場

プール

憲兵隊長が登場する。なんとこのプール漬け年金生活者のなかに別班がいたのだ。その事実に気づいたのは、県警本部長と盃を交わしてから1年が経過したころだ。その時私は別のコースをウォーキングしてしまっていたのだ。いつものコースが「自由に泳ぐ、歩く」から「25m専用」に立て看板が変わっているではないか。

気づく前に憲兵怒鳴り声が日曜の朝、プールに響いた。「ここは歩いていいコースじゃないぞ。どこ見ているんだ」スタッフでもこんな注意はしない。みると小柄ではあるが筋肉の塊のようなガタイだ。頭に毛がないのは、人生長い証だった。「へえ、すんません。なにしろわいは新入りなもんで」ていねいに謝っておいた。

あとで県警本部長に報告する。すると予想もしない答えが返って来た。「彼は別班だよ。もと憲兵隊長でね。もう90歳は過ぎているよ戦争孤児でねえ。那覇の街をさまよっているんだ。可哀そうなやつじゃよ。私には同胞だから優しいがね。」

なんと別班だったのか。憲兵隊なら公安よりも上だ。さすがの県警本部長も手が出せない。しかしあの鍛え上げられた筋肉。厚い胸板誰とも構わず恫喝して来る憲兵隊の恐ろしさを知った瞬間だった。それなりの腕っぷしもあるのだろう。やはり戦乱の世県警本部長一人でこのプールを守るのは難しい別班がいたのだ。

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