年金生活者の決断

プライベートビーチ

8:00船は見えない。この波高では遊漁船も出港しないかもしれない。決断すべき干潮時刻の10:00まであと2時間を切った。でもこの波では無理だ。勝ち目は全然ない。この時点では、まず海には入れないと思えた。私は砂浜にすわり、落ちていたプラスチックのカゴに寄りかかり、途方に暮れた。

9:00あと1時間。浜辺の波は確実に岸から引いていっている。干潮が近いのがわかった。しかし今日は暦では、小潮と若潮の間だから干満差はそれほど期待出来そうにない。ただどんなに大波であろうと干潮時が岸から離れる時だから、その影響は一番弱くなるのは事実だ。1日1回だけのチャンスだ。干潮はもう一回あるのだが、それは夜中。だから無理。

体に打ちつける大波が、干潮で足もとまでの高さまで引いてくれたら、岩になんとかはりついて、岩場づたいに行けば、奇跡的に助かるかもしれない。でもそこまで波が引くか。そもそもエントリーしたビーチまで、ずうっと岩場が続いているかも定かではない。皆そうやって希望を持ってトライして、途中で大波にさらわれるか岩場から足を踏み外して荒れ狂った海中に落ちて終わりなんだよな。

判断に迷う。どう決断するか。私は9:50に決断しようと決めた。準備に時間を要するからだ。待つのだ。ただ待つのだ。そして決断するだけ。危険を覚悟で海に出て岩づたいに歩くか、それとも海に出るのをあきらめて、ここに残るかだ。ここに残っても遊漁船が来るという保証もない。決着が長引くだけの結果に終わるかも知れない。

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