県警本部長

プール

あとでわかったことだが、ブタの先輩はここいら一帯を取り仕切る、プール漬け年金生活者の集団の長(おさ)であった。よく観察すると、プールに来た年金生活者の誰もが、彼に頭を下げてあいさつしている。いろいろと相談したり、話し込んだりしている。スタッフまでもが頭を下げている。

それで新参者の私に、危険人物ではないか確かめるために接近して来たのか。プール漬け年金生活者の群れを守る長(おさ)の仕事も楽ではないなと感じた。そして私は無事に入団テストをパスし、群れの一員となることが出来た。役割も与えられた。うれしい。その夜は一人で合格祝いをした。

ここはもう一つの社会(コミュニティ)を形成していた。みんながお互いを気遣い助け合っている。そりゃ20年以上も毎日同じ時間に、同じプールで水中ウオーキングをしていれば知らない人はいなくなる。それぞれの役割分担も仕切られており、皆忠実にこなしていた。

ブタの先輩(長)は、群れの活動が原則休みである土・日も、直属の部下1~2名を連れてプールに来ている。そして秩序は守られているか、群れに有害な人物がやって来ていないか常に監視しているとのことだった。近づくだけで何かすごいオーラがある。人を引きつける力、そしてその底知れぬパワーを感じるのだ。 もしかして、もと県警本部長だった方か!何の仕事をされていたかを聞こうとしたことがあるが、絶対に過去は語らなかった。皆年を重ねると過去の栄光を自慢したがるものだが、先輩は違った。やはり本当に、うつわの大きな先輩だった。

コメント

タイトルとURLをコピーしました