飛び跳ねたおにぎり

シゴト

これはまずい。たいへんなことになってしもうた。どうしようか。考えている時間はない。10:00開店まであと15分しかないどうしても納品しなくては。西新宿の高層ビル群の急カーブで荷台のコンテナがくずれたのだ。別にコンテナは、おにぎりだからフタがついていれば問題ない。きちんと並び直せば済む。だが問題は最上部のコンテナだ

一番上だからフタがなく、おにぎりが勢いよく飛び跳ねたコンテナから飛び出し、形状が丸いからコロコロとライトバンの荷台をころがる。車を停めて最上部のコンテナを確かめる。5個おにぎりがない!急いで車内を探す。あった!こんなとこまで、転がりやがって。あと1個が見つからない。どこだ?あったぞ。しかしかなり変形してしまっている。だが原型はかろうじてとどめている。

おそるおそるコンテナの配達先ラベルを見る。まずい、「新宿小田急百貨店地下食品売場S-24」との表示が… 目の前が真っ暗になった。すぐに上司に連絡しようとしたが、近くに公衆電話が見つからない。時間は迫る。どうするか。そこで我にかえった。私は弁当屋ではないか。弁当を作ってなぜ悪い

1分後、私はドライバーから弁当屋に変身していた。いくつもの飛び跳ねたおにぎりのゴミを落としもう一度にぎりなおした我ながらいい出来である少しスマートになったが、ダイエットにはもってこいの新商品である。そして時間通り、小田急百貨店の地下駐車場に到着。無事に納品出来た。2~3日は苦情が来るのではと、ドキドキしていたが、何もなかったから安泰ということだ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました