高田馬場BIGBOX-RE

シゴト

卒論のテーマは「人は見られている時はまじめに仕事をするが、見られていない時は誰でも必ず手を抜く」という心理学の有名な理論があるらしい。それについて実証実験するものだという。私のように見られていてもいなくても平気で手を抜くような人間には興味を持ったらしい。大学院では臨床心理学について学ぶという。彼女は鋭い洞察力とすでに数々の心理テクニックを心得ていて、それを実社会で活かしていた。最初は誰もそれに気づかなかった

ある時から、気づいたら仕事のペースが私のペースではなく、彼女のペースになっていた。仕事上の私の細かなこだわりや、クセを見抜き、きちんとポイントを押さえて仕事をする。そのうえ私が社長から叱責されそうになったり、受講生から苦情が来たりすると、すぐに間に入りダイレクトに私に伝わらないようにして、クッションとなって何度も私を守ってくれた。

そして納得がいかないとだれかれ構わずに反論する。たとえお客さんである受講生に対してでもである。私が言いたくても言えないでいるようなことでも、平気で反論してくれるだから敵も多かった社長秘書とは特に仲が悪く、大声でケンカしているところを何度か目撃した。かと思えば、「昨日秘書のアパートに遊びに行って泊って来たよ」などと報告する。心理状態がよくわからない

後に大学院で心理学の博士号まで取った彼女だが、当時私に何度も言って教えてくれた言葉がある。「人の心は岩やコンクリートのように固めたものではないのよ。人の心は絶えず揺れ動いているものなの。だから必ず人の心は動かせるの。決して諦めたらだめよ」と…   だからクスリ漬け年金生活者は今日まで生きて来れたのかもしれない

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