年金生活者と出口のない密林

プライベートビーチ

浜辺へ戻る決断はしたものの、どちらに進めばいいかわからない。あたりは真っ暗闇だしも降り出して来た。私は2年前のことを思い出した。密林の中から、どうやって抜け出せたか。私はダイビングキャップを外した。両耳が出たこれだ!遠くに波の音が聞こえる。しかも方向が分かる。助かった。

暗闇のなか冷静を保ち、波のする方角へ少しずつ前進した。木々や草が生い茂っており行く手を阻んだ。それは、うっそうと空まで茂っており、木々や草の上を歩いていくことは困難だった。そこで木々の隙間を這ってくぐってほふく前進という体制をとるしかなかった。海兵隊でもないのに、なんでこんなことをしなくちゃいけないんだ。

映画「コンバット」のようだった。だがサンダース軍曹はもういない。ヘリコプターにやられてしまった。ビッグモローは死んだ。だから私一人で行くしかない。背中のリュックにツタや枝がからまり前進出来ない。かと思えば、今度は右足、左足とツルやツタがからまる。それを1本1本手ではずしながら前進して行く。右足が人工股関節、左足も変形股関節症が進行しているからさすがにきつい。

何とか波のする方角をめざした。少しずつ波の音が大きくなり、ビーチに近づいていること、方角が間違っていないことを確認出来た。それでもまだ密林は永遠と続いている出口が見えない。海が見えない。もちろん密林だから空も見えない。真っ暗闇だ。私は極度の不安に襲われ、パニック状態になりそうだった。ワイパックスも持ち合わせていない。危機的状況だった。

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