年金生活者と九份老街でダウン

タビ

クスリ漬け年金生活者はある時、間違って昼間に九份老街に来てしもうた。10月になったというのに気温は33℃もあり、めちゃくちゃ暑い。直射日光が厳しく眩暈すらする。目的地に近づくと、木立の影から突然現れた限りなく続く急な石段。見上げても終わりが見えない。老街って老人の住む街のことだよね。バリアフリーかと思いきやこの現実。

それでも老街だからどこかにエスカレーターがあるんだろうと探すが、どこにも見当たらない。「頂上に有名な茶屋があるので是非楽しんで来て下さい」とガイドが言う。でもガイドは登らない。冷房の効いた観光バスと共に行ってしもうた。いきなり炎天下に放り出されたのだ。付近は山ばかりでビルもないから影もない。冷房の効いた喫茶店などあるはずもない。死んでも登るしかないのか。

いざのぼり始めたが、見た目よりもかなり急な石段である。行き交う人も多く、途中で止まることは出来ない。息が切れる。眩暈もして来た。額から汗がほとばしる。吹きすさぶ熱風の中、気が遠くなりそうになりながら頂上まで登る。しかし何もない神社の一部らしき破片があるだけだ。しもうた。通り過ぎてしもうた。下ばかり見て一心不乱に登って来たからだ。

引き返し始めると、急にパラパラと小雨が降って来た。石段だからツルツルと滑る。ここで足でも滑らせたら、日本へは帰れなくなる。Artificial-Jointの骨折は修復が難しい。「有名な茶屋!有名な茶屋!」と誰かが叫んでいたが、耳に入らなかった。危険なこの難所から一刻も早く無事に脱出したかったのだ。それにこの暑さの中で熱い茶を飲むなど、想像を絶していたからだ。

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