日本の鉄道史において、横川-軽井沢間ほど鉄道マンたちの情熱と技術が注ぎ込まれた区間は少ない。その最大の理由が、碓氷峠に立ちはだかる66.7‰(パーミル)という急勾配である。これは1000メートル進む間に66.7メートルも高低差が生じる勾配で、一般的な鉄道路線では考えられないほど険しい。
この難所を越えるために誕生したのがEF63形電気機関車だ。横川駅では列車の後部にEF63を2両連結し、峠越えに挑んだ。EF63は強力なモーターと特殊な電磁ブレーキ装置を備え、上りでは列車を力強く押し上げ、下りでは暴走を防ぐ守護神として活躍した。そして「協調運転」というスゴ技をこなした。
その重厚なモーター音と力行する姿は、多くの鉄道ファンの記憶に今も鮮明に残っている。189系特急あさま11両編成は、自力だけでは66.7‰を安全に通過できないため、横川駅でEF63を連結して峠へ向かった。発車後、機関車と電車が一体となって唸りを上げながら急坂へ挑む光景は圧巻だった。
EF63が特急あさまの全ての動力車のモーターをも制御する、この協調運転は、まさに鉄道技術の総力戦だった。車窓には深い山々と碓氷峠の険しい渓谷が広がり、列車はゆっくりと標高を上げていく。乗客にとっては何気ない移動時間だったかもしれないが、その背後ではEF63 2両と、あさまが合計11,000馬力という、限界に近い力を発揮しながら峠を越えていたのである。

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