歌舞伎町と年金生活者

シゴト

クスリ漬け年金生活者は流れ流れて新宿歌舞伎町で働いていた。敬愛すべき萩原流行は死んだが、クスリ漬け年金生活者はしぶとく生きていた。24時間眠らない街、新宿歌舞伎町一番街。至る所に「夜の帝王」の看板が目立つ。インベーダー大学がいくつも出店していて独特なゲームサウンドが中から響いている。昼間、一番街はカップルや大学生であふれていた。まっすぐ歩けないほどだ。

夜になると景色は一変する。毛皮のコートや派手な衣装を身にまとった水商売の女性の出勤が始まる。キャバレーの店頭には看板を手に持った客引きとハイレグの水着姿の女性が愛想を振りまく。店内からは大音量のジンギスカンのメロディだ。

道の両端には「新宿スワン」のごとく水商売のスカウトマン客引きが通行人に眼を光らし、ビラ配りや声掛けに絶え間がない。水商売女性と客との同伴出社も目立つイケメンホストは運転手付きBMWで出社。すぐに車は女性ファンにとり囲まれる。私もそうなるはずだった。なんせホストクラブの給与はケタ違いに高かったからすぐに応募した

予想通り面接合格しかし初日でアルコールが全然飲めないことが会社にバレてしまい、諦めざるを得なかった。結局、歌舞伎町一番街の一番奥にある八百屋に勤務することになった。各店へのフルーツや食材の配達である。クラブやキャバレーに納品するのだが、客にはその10倍近い値段で提供していて驚いた。

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