それでは、「地域住民の足」として、碓氷峠(横川~軽井沢11.2km)を、第三セクター鉄道として残せなかったのか? この問題は、実は長野新幹線開業時にかなり議論されたテーマである。結論から言うと、「旅客鉄道として単独維持するのは極めて困難である。」という判断だった。
「ただし、観光鉄道・保存鉄道としてなら、成立する可能性が高かった」というのが、現在の鉄道経営から見た評価である。 なぜ第三セクター化が難しかったのか? 一見すると、「軽井沢は観光地だし、需要があるのでは?」と思うだろう。しかし、碓氷峠区間は鉄道経営上、非常に特殊だった。① 距離が短すぎる:
横川~軽井沢間は、たったの11.2kmである。普通の地方鉄道なら、50km・100km程度の路線網で収益を考える。11kmだけでは、駅収入・通勤客・定期利用 がほとんど期待できない。 ②最大の問題は「66.7‰の急勾配」:1000m進む間に66.7m上るのだ。通常の鉄道では非常に厳しい勾配である。
電車単独運用を想定した場合、新たに強力な電動機を備えた特殊な車両を開発する必要があった。それには、特殊なブレーキ(滑走防止装置・抑速ブレーキ)・強力な保安装置も必要となる。JRの安い払い下げ電車を使うのとでは、費用が段違いで比べ物にならない。

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