六号坂のアヒルたち 6

シゴト

アヒルたちは国家試験無事合格。それぞれの道を進んだ。夜の9時を過ぎた。今日は当直だ。控室のソファーは、背もたれを倒すとベッドに代わるしくみになっている。緊急の検査で起こされなければ、朝まで眠れる。ただ、定例の仕事をやってしまわねばならない。

20単位から60単位のクロスマッチである。明日の心臓外科手術に使う輸血用血液だ。それぞれの患者のパイロット交差試験を行う。オモテとウラがある。時間のかかる作業だ。まあ、のんびりとやるか。検査室に降りる足取りは重い昼間ジャドキンスソーンズ疲れが出ているのだ。

なんとか日付が変わる前に片づけることが出来たぞ。再び控室で横になる。なかなか眠れない。24時をむかえた西新宿。カーテン越しに、向かいのネオンサインの光がにじむ。向かいは何の店か?カーテンをそっと開けてみる。外は春の雨だった。水滴でネオンは幻想的に滲む。

そうクスリ漬け年金生活者は、新入社員として大手の組織採用されていたのだ。同職種での採用は3名ほどいた。組織全体歓迎会西新宿のホテルで盛大に開催された。職種別での歓迎会は三鷹技師長宅で秘かに行われた。そしてこの年、羽田沖では日航機逆噴射した。

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